社内向けドキュメントの効果的な分類と提示
はじめに
バックオフィス部門が提供するドキュメントは、従業員が日々の様々なマネジメント業務に速やかに対応するための情報源となります。しかし、社内で提供される情報は多岐に渡るため、必要なものを探し出すこと自体が、従業員にとって新しい「仕事」となりつつあります。
本稿では、従業員にアクションを起こしていただくためのドキュメントを提供する際に組織開発室が実践している、分類と提示のアプローチについて取り上げます。このアプローチにより、従業員が情報探索に費やす時間を減らし、すばやくアクションを起こせるようになり、そして本来の業務に集中できるようにします。
提供したい情報の特徴と分類の必要性
まさに今必要なアクションのための情報
何かしらの対応を求める周知において、従業員がドキュメントに求めているのは、「今、何をすべきか」という明確な指示と、その完遂に必要な情報です。これには、以下のような情報が含まれます。
- 社内制度に関するマネジメント業務を遂行するための手順
- 速やかなアクションが必要な場合の指示や手続き
- アクションに際して押さえておくべき基本的な要点
- アクションに際して必ず参照する資料のありか
これらの情報は、忙しい業務の合間の時間であっても、周知内容に接した従業員が迷わずにアクセスし活用できるように整理されていることが求められます。
ものごとを深く理解するための情報
一方で、社内の制度の存在意義や用語の定義など、背景にある様々な専門知識は、本質的な理解には時間がかかり、マネジメント業務においてすぐに活かせるようになるものではありません。こういった内容のドキュメントを多忙な業務の合間に時間をとって読み込むのは、きわめて困難です。
しかし、これらの情報が、社内制度に対する従業員の理解を深め、従業員それぞれがより効果的な意思決定に携われるようになるために欠かせない要素であることも事実です。
ドキュメントの分類の必要性
バックオフィス部門の立場としては、従業員の皆さんに対して何かしらのアクションを求めるような周知を行う際に、そのアクションの重要性を理解してもらうことでなるべく迅速な着手に繋げてほしい、という願いがあるものだと思います。
そうすると、なぜこのアクションが必要なのか、アクションをお願いすることになった経緯はどのようなものか等、アクションを急ぐことにも納得していただけるような情報を多めに提供したくなってしまいます。
しかし、それにより、上述した2つの種類の情報が、ひとつのドキュメントに混在してしまうと、どうなるでしょうか。
周知の内容に接した従業員は、迅速な対応を求められているにもかかわらず、見落としを恐れ、書かれてあることには網羅的に目を通そうと試みます。ところが、その場で完全な理解に至ることのできる情報ばかりではないために、「このアクションは、今すぐ着手できないものだ」と判断してしまう可能性が高まります。
これにより、迅速なアクションを求める周知内容からの離脱が生じ、結果としてアクションへの着手が遅れることに繋がります。
どのように実践するか
すぐに遂行してほしいアクションは、背景や経緯はともかく、とりあえず実行し完了してほしいものであることがほとんどかと思います。逆に、あらたまった説明が必要な段階であれば、説明会等の機会を事前に設ける必要があるはずです。
すでに定期的に実施していただくことになっているような対応については、アクションの駆動を優先する方がスピーディに回せるようになるでしょう。そのために、情報の提示は以下のように実践しています。
周知文の作成
周知文は、必要なアクションを手短にまとめつつ、そのアクションを取るために必要な情報を全て含めるように整理して提示します。この周知文だけを読めば、必要なアクションを従業員が迷わずに完了できるように構成することが大切です。
周知文を見直す際は、周知文の内容に沿って実際にアクションを取ってみることで、従業員がどこで時間をロスしそうか、どこで迷いそうかということに気づけます。それらの問題を手元で潰した上で、周知を実施できると良いでしょう。
詳細情報へのリンク
背景知識や追加情報は、それが必要だと感じた読者に対しては適切に提供されなくてはなりません。
周知文自体には詳細すぎる情報をそのまま載せると、それを読むために時間を要するため、着手のハードルが上がります。そのような内容を含むドキュメントは別の場所に切り出した上で、それを配置した場所へのリンクを提供するようにしましょう。これにより、必要な人だけが知識を深掘りできるようになります。
まとめ
バックオフィス部門が提供するドキュメントの効果的な分類と提示は、従業員が時間を有効に活用し、必要な情報をアクションを迅速に知ることができるようにするための鍵となります。このアプローチにより、従業員は日々の業務に集中し、同時に社内の様々な制度に対する理解も深められるようになります。